著者
Владимир Платонов
出版者
The Japan Journal of Coaching Studies
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-14, 2016-10-20 (Released:2019-09-04)
参考文献数
35

アスリートが試合への準備を行うにあたっての理論および方法論は,専門的な法則性に基づく指針となるパラダイムや指導的理念となる専門的諸原則に基盤を置いている.それら専門的法則性とは,安定的で再現される関係性を示す.つまり,生まれ持った資質と,競技力の構成要素を高いレベルに向上させる可能性との関係,また,アスリートの身体に作用を及ぼすトレーニングの内的・外的要素と,その結果として起こる反応との関係性,動きの質的表徴と準備状態の様々な要素の関係性,準備状態の様々な面と試合活動の最適な構造との関係性などである.これら原則は,アスリートが試合への準備を行う中で,実際のトレーニングに起こり得る典型的な状況においていかにあるべきかということや,コーチングをどこまで創造的におこなってよいかの指針を示すうえで重要な役割を果たしている.またこれらの原則は,科学的研究によって導き出された結果を解釈するために重要であることはもちろんのこと,それと同様に,我々がしばしば遭遇する現代スポーツの実情からかけはなれた医学・生物学的分野におけるケースにも適用することが重要である.
著者
Владимир Платонов
出版者
The Japan Journal of Coaching Studies
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-12, 2019-10-20 (Released:2019-11-19)
参考文献数
21

選手の多年にわたる競技生活では,大きく2つのステージに大別される.その1 つ目は,最高の競技力を形成するステージであり,これは,トレーニングを開始してから最高の競技成績に到達するまでの期間である. このステージは,     ①トレーニング開始段階     ②基礎的準備段階     ③専門的準備段階     ④最高の競技成績達成に向けた準備段階の4 つの段階に分けられる.選手の性別や個々の能力,種目の特性などによって,このステージの期間は最短で7-8年,最長で12-14年ほどと開きがある.     2つ目は最高の競技力の発揮,発展,維持するステージである.これは,選手が最高の競技成績を達成してから選手生活を終えるまでの期間であり,次の段階に分けられる.     ①個人の競技力を最大限発揮する段階     ②競技力を維持する段階     ③競技力漸減の段階     ④選手生活終了段階     これらの各段階の間に明確な線引きはない.というのも,選手の多年準備システムとは,競技力を形成・発揮するひとつの連続的なプロセスであるからだ.
著者
Владимир Платонов
出版者
The Japan Journal of Coaching Studies
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.145-158, 2019-03-20 (Released:2019-09-02)
参考文献数
19

本稿は,平成28年3月に開催された日本コーチング学会第27回大会(日本大学) において講演いただいたV.H.プラトーノフ氏によるものである.プラトーノフ氏は,大会テーマであった「アスリートの準備の現代的システム」の理解を深めることができるように,5本もの論文を本学会に寄稿された.これはそのうちの2本目の論文であり,「オリンピックスポーツにおける選手の多年準備構造の基礎」についてまとめたものである.     本稿の中でプラトーノフ氏は,オリンピック等の国際試合で勝利を収めることとともに,長期間にわたってその成果を維持するためには,多年にわたり計画的な準備を行う必要性があると述べている.その中でも,特にジュニア・ユース年代のトレーニングプロセスを構築する際には,十分な配慮が必要との見解を示しており,是非とも一読願いたいと考える.