著者
鈴木 浩孝 スズキ ヒロタカ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.19, pp.37-42, 2019-03-31

本稿の目的は,ミクロ経済学の消費者行動理論を用いてプレミアム付商品券政策の仕組みを明らかにすることである.1人当たりのプレミアム付商品券の購入可能金額を所与とする場合,あるパラメーター領域ではプレミアム分と同額の現金支給時よりも対象財の購入量を増やす効果は大きくなる.プレミアム率の設定はこの領域の操作に相当する.さらに使途の制約は対象財の区分を通じたパラメーター値の分布の間接的な操作に相当すると考えられる.他方,1人当たりのプレミアム付商品券の購入金額を内生的に扱う場合には,すべての個人が自身の効用関数に適した購入金額を選択することから,パラメーターの全域においてプレミアム分と同額の現金支給時よりも効果が大きくなる.