著者
バムルングルグサ ノパラット プリンタヴァラクン チョアティップ 加藤 茂 スターガート ジャニス
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.304-312, 2004-06-01
参考文献数
10

南部タイ・パクファナン低湿地地域にはニッパヤシ (<I>Nypa frnticms wnrmb</I>) が, 約3200haに分布・生育している. この低湿地地域の住民はいくつかの方法で経済的収入を確保しているが, 最も重要なのはニッパ砂糖生産である. この地域の標準的なニッパからの砂糖生産は, 一ヶ月あたり1,030kg/haの砂糖生産を1年間に8ヶ月間行うことである. ニッパヤシ樹液には, ショ糖として14%から17%含有されている. 樹液採集法は, 十分に成熟した果実の果茎を切り取り, 果茎から溢れ出る樹液を竹筒に収集する. 樹液量増産には, 果茎を3日間連続して40回から50回叩き刺激する. この後, 10日間そのままに放置する.果茎叩き刺激周期は, 同様な方法で2回から3回連続的に繰り返す. この叩き刺激は, 果実落下に優先して導管内の妨害物質を抑制する.叩き刺激を開始する前には, 常に果茎を厚さ1から2mm切り取る. 新しくなった切り口には, 竹製の収集容器を取り付け, 樹液を収集する.<BR>熟練技能者は, 一日あたり100本以上の果茎を叩き, 刺激を与えることができる. 1果茎からは, 一日あたり約0.71の樹液を生産する. 刺激による樹液流量の研究から, 果茎叩き回数と樹液流量 (生産) 割合に関係が認められている. 樹液生産には, 土壌水分も重要であり, また果茎叩き刺激回数の変化によっても影響されることが認められている. 樹液から砂糖への転換割合は, 平均値として樹液1001あたり約20.83kgである.