著者
スワナメク アンポーン スワンケットニコム ランシット
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.346-352, 1990-12-25

Artemisia vulgarisの防除において2,4-D (ジメチルアミン塩) とピクロラムの相乗効果を調べた。比較的低温 (試験期間中平均18℃) のタイ北部高地における圃場試験と,高温 (同平均31℃) のバンコックにおける温室試験を行った。両試験において2,4-Dおよびピクロラムの混合施用はそれぞれ単剤の施用に比較して大きな殺草効果を現わした (第1および2表)。また温室条件でピクロラムと2,4-Dを別々に1〜12日までの間隔で連続施用した場合も,相乗効果を現わすことが認められた (第3表)。温室条件でピクロラムと硫安1%との混合施用にも相乗効果が認められた (第4表)。^<14>C-ピクロラムを用いた温室試験で,2,4-Dはピクロラムの植物による吸収や体内移行に対して一定の効果を与えなかったが,硫安はピクロラムの吸収を促進した (第5〜7表)。植物体内に取り込まれたピクロラムは大部分代謝されずにそのままの形で留まっており,2,4-D,硫安ともにピクロラムの代謝を促進するというおとはなかった。従って硫安とピクロラムとの混合による相乗効果には,硫安によるピクロラムの吸収増加が大きく貢献したと考えられる。他方,2,4-Dとピクロラムとの相乗効果については,2,4-Dによる吸収促進効果が認められなかったことから,もっと別な要因,たとえば作用点所上の検討などが必要であると考えられる。