- 著者
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ト藏 建治
林 信二
- 出版者
- The Japanese Society of Snow and Ice
- 雑誌
- 雪氷 : 日本雪氷協會雜誌 (ISSN:03731006)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.6, pp.543-550, 2003-11-15
近年の温暖化傾向のため増加しつつある温帯低気圧の発達・接近で東北地方北部太平洋側(青森,岩手県)では2年続きの暴風雪災害が発生している.2003年3月8日と2002年1月27日に南岸低気圧の発達・接近によりこれら地域に記録的な降雪がもたらされた.被害の実態は強風・波浪による沿岸養殖に関わる漁業施設や港湾などの土木施設が金額的には大きく報告されている.しかし,太平洋から吹きつける東風によりもたらされる湿った重い雪(ヤマセ雪)によりビニールハウスや畜舎などにも大きな被害が出ており,被害域は降雪量の多さに良く対応している.暴風雪のたびに注目されたのは2万戸以上の停電が生じ,12時間以上に及ぶ長時間の停電も多発したことである.停電の原因は電線着雪と言った一次的な雪害ではなく,送電線付近の樹木が雪荷重により倒木・枝曲がりし送電線に接触することによる停電で雪による二次災害(雪害)である.森林の維持管理に対する充分な検討がくわえられない限り,今後もこの種の雪害は繰り返し発生するだろう.