著者
ルトファー ラーマン 藤井 光雄
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.12, pp.649-664, 1970

ポリ酢酸ビニルエマルジョンを常法により作成し,ピーター添加法,エマルジョン含浸法および樹脂のアセトン溶液による含浸法により加工紙を作り,この加工紙の樹脂含有量の測定および光学ならびに電子顕微鏡観察を行ない,それぞれの加工法の根本的相違について研究した。紙はロ紙をランペンミルによって叩解し,種々の叩解度の紙をTAPPI法によって作成した。<BR>叩解度はカナダフリーネス270~450程度,樹脂含有量は0~40%程度のものを作った。すなわち叩解度の異る紙を用い,ピーター加工,エマルジョン含浸加工および溶液含浸加工により樹脂含有量の異るものを作成し試料とした。結果を要約すれば次の如くである。<BR>含浸加工の場合は叩解度の増大に伴って,樹脂含有量は減少するが,ビーター加工の場合は増大する。ビーター加工において使用した樹脂の歩留りは叩解度の増加に従って増大する。いずれにせよ叩解度の影響は大きい。これは繊維間の空間やフィブリル化,繊維表面などの点から説明される。<BR>顕微鏡観察の結果から加工法と紙中における樹脂の状態に関する知見を得て,それぞれの加工法の加工効果を推定し,全般的にいつてビーター加工は最も加工効果が低く,溶液含浸加工は最大であることなどを明かとした。