著者
三枝協亮
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.19, pp.1-8, 1978-09-14

本題に入る前にAPLについて少し触れておきます。APLは1958年に米国にて出版されたK.E.IVERSON博士の著作「A PROGRAMMING LANGUAGE」に記述された論理表記法を実用化したものということです。IBM CORPORATIONでは、約10年ほど前から社内のプログラミング言語として普及しはじめました。現在ではほぼ全世界のIBM社内において対話式データ処理の主流としてあらゆる方面でその地位を確立しつつあります。IBM社外においても、それを使用する個人に役に立ち、愛される言語として数多くの企業内で歓迎されています。我が国の場合も最近APLの理解が急速に深まりつつあります。日本アイビーエムでは1972年に市場予測、予算計画、経営資料作成等の分野で、ごく小規模にAPLが使用され始め、その後徐々に使用者が増大し、現在一般社内業務処理のために、本社、藤沢研究所、野洲工場等でそれぞれ独立したAPLサービスを実施するに至ってます。APLは、元来、コンピューターのプログラミング言語としてよりも、むしろ人間の論理をより簡潔に、より正確に表現し他人に伝えるための記号言語として設計されました。したがってAPLプログラミングは、APL外の世界とのかかわりあいを持たないかぎり、OSとか、アクセス・メソッドとか、バイトとか、ワードとか、活動小数点とか1つの時代の、1つのメーカーの1つのコンピューターの設計に左右される知識と無縁であると云えます。したがってDPの素人がAPLのプログラマー、もしくはユーザーの過半数を占めています。しかしながらAPLは全くのDPの素人ばかりで効果的に使用することは不可能です。何故ならば、APLもDPの枠組みの中で稼動し、DP資源の利用の全体的なバランスの中で運用されなければならないからです。APLの利用者のために、最適なデータ・ベースの設計をおこなうことも企業のDP部門の仕事であります。ただデータ・ベースはその管理の仕組みも大切ですが、利用されることがより重要でありますので、既成概念にとらわれることのない、新らしい試みという観点から経験を積みあげていくことが重要だと思われます。