著者
三橋 純予
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.353-366, 2010-03-20

筆者はこれまで美術教育の新たな領域として「アートマネージメント手法」の有意性を理論的に検証・提起し,実践研究として現代美術家との2つのアートプロジェクトを教材化して,その過程から育まれる「複合的鑑賞教育」の可能性を考察してきた。本稿では,これらの研究と平行して進めてきた北海道立近代美術館との3年間にわたる「連携授業プロジェクト」を新たな実践研究として,公立美術館を現場とした,展覧会の企画から実施までの授業プロセスを系統的に検証し,「作品と向き合うA段階」と,「他者(社会)と向き合うB段階」に分類し,「学習の転移」をキーワードとして,鑑賞教育におけるアートマネージメント手法の有意性を,理論的に明らかにする。