著者
谷 和久 三重野 浩
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : 日本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.81-94, 1992

当社の業績は,市場の急激な変化への対応が遅れる中で1987~1989年に急激に悪化した.こうした中で当社は経営組織風土の抜本的な改革のために事業部制の導入,販売体制の強化,人事制度の改定等の施策を講じたが,MRSもこうした経営風土変革のための施策の一環として導入したビール事業本部の利益管理システムである.(1990年に導入)従来の「中央集権的な本社中心のマネジメント」から,権限を支社に委譲した「分権的なマネジメント」に変革することを目指している.費用をタイムリーに管理区分ごとに把握する「発生ベース費用管理システム」や「販売情報システム」等のコンピューターシステムをベースに,従来の損益計算の仕組みを「支社だけをプロフィットセンターとする直接原価計算による損益計算」(限界利益概念の導入)に変更することにより,販売の第一線である支社の真実の利益貢献度が把握できるシステムを構築した.また,利益を販売数量,シェアとともに支社マネジメントの目標として明確に位置づけるとともに,支社のマーケティング費用等の支出についての権限の強化をはかった.