著者
上澤 和也 上原 伸夫 伊藤 清孝 清水 得夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.867-872, 2001-12-05
被引用文献数
2 9

研究室で充填した自作カラム(4.6mm i.d.× 50mm)を用いるイオン対逆相分配高速液体クロマトグラフィーにより, 鉄及び鋼中の微量ホウ素を直接定量した.自作カラムはスラリー法によりHPLC用ODS(C_<18>)充填剤(粒径5μm)0.7gを充填して作製した.鉄鋼試料を塩酸-硝酸で分解し, リン酸と硫酸を加えて蒸発乾固した後, 希塩酸に溶解した.この分解溶液から適量を分取し, 7.5×10^<-3>mol dm^<-3> 1, 8-ジヒドロキシナフタレン-3, 6-ジスルホン酸(クロモトロープ酸)溶液2.5cm^3, 0.275mol dm^<-3>エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液2.5cm^3及び0.5mol dm^<-3>臭化オクチルトリメチルアンモニウム溶液を含む1.0mol dm^<-3>酢酸緩衝液(pH4.8)2.5cm^3を加えてから水で25cm^3に定容とする.この溶液から200mm^3を自作カラムを装着した高速液体クロマトグラフに注入する.溶離液には5.0×10^<-2>mol kg^<-1>臭化オクチルトリメチルアンモニウム, 5.0×10^<-3>mol kg^<-1>リン酸緩衝液(pH8.0)を含む水-メタノールの混合溶液(45 : 55w/w)を用いた.検出波長を350nm, 流量を1.0cm^3 min^<-1>としてHPLC測定を行った.ピーク高さに基づく検量線はホウ素濃度が10^<-8>mol dm^<-3>レベルにおいて直線性を示し, 空試験値(n=5)の標準偏差の3倍と定義した検出限界(3σ)は1.3×10^<-9>mol dm^<-3>であった.本法を鉄鋼認証標準物質(日本鉄鋼連盟)等に適用し, 保証値あるいは参考値(0.2〜50ppm)とよく一致する定量値を得た.