著者
岩崎 真樹 神 一敬 加藤 量広 大沢 伸一郎 下田 由輝 中里 信和 冨永 悌二
出版者
The Japanese Congress of Neurological Surgeons
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.9, pp.744-749, 2014

両側頭蓋内電極留置によって術前精査と逆側の発作起始を捉えた側頭葉てんかんの1例を経験した. 症例は35歳右利き男性. 20歳のときに難治の複雑部分発作を発症した. 頭部MRIとFDG-PETは正常. 発作間欠時に両側側頭部のてんかん棘波を, 発作時に右側頭部に始まる脳波異常を認めた. 両側海馬と側頭葉に頭蓋内電極を留置して記録したところ, 左海馬に始まり対側海馬に伝播する発作が確認された. 左側頭葉前半部切除術を行い, 術後12カ月にわたり発作は完全消失している. 病理学的に皮質形成異常と海馬硬化が認められた. 側方診断に疑問がある側頭葉てんかんは, 両側電極留置によって発作起始を確認することが重要である.