著者
小松 貞子 中井 弘司 高松 康雄 盛中 泰洋 渡辺 和俊 篠田 真樹 飯田 成宇
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.451-462, 1996-10-31 (Released:2007-03-29)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

MCI-186の代謝物および代謝の種差を明らかにするため,代謝物の検索,構造推定,尿中への未変化体および代謝物の排泄率,in vitro代謝について検討を行った.以下にその要約を示す. 1.MCI-86の主代謝物はいずれの動物およびヒトにおいてもMCI-186のsulfateおよびglucuronideであった.ラット,イヌの尿中ではMCI-186 sulfateが多く,ヒト尿中ではMCI-186 glucuronideが多く,種差が認められた. 2.いずれの種においても尿中排泄が主排泄経路であった.未変化体の尿中排泄率は投与量の3%以下とわずかであった.イヌやヒトでは尿中排泄量のほとんどが未変化体およびMCI-186のsulfate,glucuronideで説明できるのに対し,ラットでは未知の代謝物が尿中放射能量の20~27%と多く存在した.ラットの尿中排泄において大きな性差は認められなかった. 3.ラットおよびイヌの肝S9を用いたMCI-186のin vitro代謝においては,ラット,イヌともMCI-186 sulfate生成活性のほうがglucuronide生成活性よりも高く,またラットにおいてはいずれの生成活性も雄性ラットのほうが雌性ラットよりも高値であった.