著者
中島 麻衣
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.71-74, 2014-07-31

本稿では4年生の春休みにカンボジアのコムルー村で教育ボランティアに参加した経験をもとに,農村と都市のあり方を考察した.工業とはかけ離れた生活を行っていたその村の学校では,外国語教育を主とした授業が行われていた.なぜなら,多くの子供や親たちが都市部で働くことを望んでいるからである.このような村の状況の背景には,カンボジア経済があった.カンボジアでは人口の7割が農業に従事しているが,その生活は厳しく貧困率も高い.そのため多くの若年層が農村を離れ,都市や海外に働きにでている.だからこそ外国語教育がもっとも必要とされていたのである.しかし,村で楽しそうに過ごしている子供たちの様子を思うと,本当にそれでいいのだろうかという疑問がわき起こった.高知も「限界集落」という言葉が生まれる程,人口流出地域であった.現在,農村再生のために,第六次産業や交流産業の導入など,農業の工業化とは異なる新しい試みが行われている.高知高専でもそのような事業に携わっている人がおり,私も将来は高知に限らず関わっていきたいと考えている.