著者
益子 輝男 為国 孝敏 中川 三朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.495-500, 1997-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
15

成熟化社会をむかえたわが国において, 近年, ゆとりと潤いを求める社会状況の中で, 「観光」に対する新たな視点が求められるようになってきている。すなわち, 環境共生の中で, 観光地へのアクセス交通機関として, 公共交通機関である鉄道の新たな役割が期待されている。本研究では, 戦後の鉄道 (事業) と観光地開発との関連について, 東武鉄道の行った施策を中心に, その沿線地域にある観光地として日光, および鬼怒川温泉 (藤原町) を取り上げ, 観光活動が盛んになり始めた時代 (1955年-1975年) の社会状況を視座として史的に分析を行った。その結果, モータリゼーションの発達の影響を受けながらも, 観光活動の発展に, 鉄道サービスの向上策が, 影響を及ぼしている状況を明らかにした。
著者
鈴木 盛明 福島 二朗 為国 孝敏 中川 三朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.311-317, 1999-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
21

江戸時代に確立されていった舟運制度や河川整備手法は、明治時代に入り、政府が変革した後も踏襲されて、政策面に取り入れられている。明治政府は1872 (明治5) 年にオランダ人工師を招き、江戸川拡大の工事の方針が提出され、1875 (明治8) 年には利根川全川の測量が始まる。主要交通機関としての利根川の舟運を工事主体に置き低水工事をはじめる。そこで本研究では、江戸時代から明治初期において、舟運主体の低水工事から治水主体の河川事業の移行を調査し、その事業を推進していった政策面、為政者の思想から計画思想の変遷を明らかにした。
著者
鈴木 盛明 福島 二朗 為国 孝敏 中川 三朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.445-452, 1998

明時期に西洋より導入された鉄道技術は、近世以来、その輸送手段を街道や河川舟運等に依存してきたわが国の運輸形態に大きな影響を与えた。明治政府が、国策として鉄道建設を推進したこともあり、鉄道は生産地と消費地、特に輸出物の産地と港を結ぶために、全国にそのネットワークを形成するようになった。そのため、従来からの舟運は、鉄道路線が並行して敷設されたこともあって、大きな影響を受け、その結果として衰退過程をたどることとなる。本研究では、巴波川舟運と両毛鉄道、および集散地としての栃木市を事例として、鉄道の開業に伴う舟運の衰退過程について実証的な分析を行い、考察を行った。