著者
中川 善嗣
出版者
Japan Society of Calorimetry and Thermal Analysis
雑誌
熱測定 (ISSN:03862615)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.30-38, 2000-01-15 (Released:2009-09-07)
参考文献数
29

マイクロメカニカル・カロリメトリは,AFM用カンチレバーの「バイメタル」効果による曲がりを温度検出に用いることにより,非常に高い感度と時間分解能を実現した熱量測定法である。検出可能な熱の最小量は,理論的には20fJ程度とされており,時間分解能は,通常のAFMカンチレバーを用いた場合,0.5ms程度である。この手法をn-アルカンの回転相転移測定に用い,7pgのトリコサンが発した0.5nJの転移熱を0.5msの時定数でとらえることに成功した。カンチレバー上の温度分布や空気の影響を考慮した熱の定量方法についても議論した。