著者
仙波 恒雄 萩原 弥四郎 中村 征一郎 吉川 武彦 大塚 明彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.277-283, 1969

われわれは,熱電効果による手掌皮膚血流の測定が精神生理学領城において,情動の指標として用いられる可能性を指摘した。今回は更に本法と指尖容積脈波とを比較し,かつ若干の測定条件に検討を加えた。1.情動負荷刺激により一過性の指尖容積脈波の振幅の減少,指尖容積の減少が,手掌皮膚血流の減少に伴っておこる。また指尖容積の変化は,皮膚血流の消長とほぼ平行する。しかしその特徴は,GSRと同じく指尖容積脈波はon-reactionの判定に便であり,皮膚血流はon-off-reactionを示すので3者をポリグラフ的に記録を行なうことが望ましい。2.四肢の挙上により,皮膚血流の減少,指尖脈波振幅の増大,指尖容積の減少がみられ,垂下により皮膚血流の初期減少,のち増大,指尖脈波振幅の減少,指尖容積の増大を示す。3.各情動負荷により,個人が惹起されるべき皮膚血流の変化は,テストに対する検者の不安,緊張などの構えや,反復による慣れにより影響をうけるので測定時考慮されるべきである。