著者
中村 徳郎 大熊 純一 佐々木 郁生 北浦 貞夫
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1073-1077, 1958

脱脂絶乾トド松木粉に, 常温減圧下, 暗所において臭素ガスを反応させると, 臭素は木材中のリグニン( プロトリグニン)の芳香核および側鎖に主として置換反応を起す。このようにしてえられた臭素化木粉を水酸化第二コバルトと酸素によって酸化し,6-ブロムバニリンをえた。このことからリグニンの芳香核に置換した臭素はメトキシ基のパラの位置に入ったことがわかる。6-ブロムバニリンのほか少量の4,5-ジブロムグアヤコールと5-ブロムバニリン酸もえられた。また水素化ホウ素ナトリウムによってリグニン中のカルボニル基を還元した木粉も未処理の木粉とほとんど同様に臭素化される。すなわち,プロトリグニンの側鎖に存在するカルボニル基の有無は臭素の置換量にあまり大きな影響を与えないことがわかった。