著者
大塚 剛史 中村 貞夫
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】マスクはインフルエンザなどの病気の拡散および予防だけでなく、花粉症対策や大気汚染対策に用いられているが、コロナウィルス対策に有効であるため、世界中でマスクは欠かせないものとなった。マスクは輸入品の割合が多く、今ではスポーツブランドやファッション性の高いマスクなど、様々なマスクが市販されている。コロナ禍でマスクの着用期間が増えたため、その安全性は重要である。マスクから溶出する(揮発する)化学物質について検討した報告は殆どなく、第139年会においてGC/MSと加熱脱着装置と組み合わせ、マスクからの溶出物について報告した。今回は全国マスク工業会会員マークの無いマスクや不織布製以外のマスクについて検討した。また、分離カラムの直接加熱やカラムカットが不要など革新的機能を搭載したGC/MSとヘッドスペースサンプラと組み合わせ、マスクからの溶出物について測定した結果を報告する。【実験・結果】GC/MSを用いて材質の異なる様々な市販品マスクを静的ヘッドスペース法により直接抽出した結果、体温に近い温度では検出されるピーク数が少なく、その強度は小さかった。抽出温度を上げるほどより多く、より強いピークの検出が確認されたが、解析ソフトウェアによるデコンボリューション機能により、複数のピークが検出された場合も解析は容易であった。以上のことから静的ヘッドスペース法を組み合わせたGC/MSでもマスクからの溶出物の測定および同定を効率的に行うことが可能であった。なお、今回測定した全国マスク工業会会員マークの無いマスクであっても、毒性の高い化合物の検出は確認されなかった。