著者
丹原 哲夫
出版者
応用森林学会
雑誌
森林応用研究 (ISSN:13429493)
巻号頁・発行日
no.8, pp.137-142, 1999-03-25
被引用文献数
1

ブナ,ミズナラ,クリ,ケヤキ,トチノキ,オニグルミ,ヤマザクラおよびウワミズザクラの8樹種12カ所の広葉樹母樹林において1992〜1998年の5〜7年間にわたり,シードトラップによって種子落下数を調査した。ブナ,ミズナラ,クリ,ケヤキ,ウワミズザクラおよびオニグルミは調査年次によってはほとんど結実しない年もあった。また,ブナ,ミズナラ,ケヤキ,ウワミズザクラおよびオニグルミは隔年結果性を示した。一方,トチノキ,ヤマザクラは調査年次による大きな違いがみられなかった.豊作年とみられる年の1m^2あたりの種子落下数は,ブナ約150〜300粒,ミズナラ約100粒,クリ約30〜60粒,ケヤキ約500〜3,000粒,オニグルミ約10〜20粒,ウワミズザクラ約750粒であった。また,ヤマザクラ,トチノキの平均種子落下数はそれぞれ約880粒,約40粒であった。12調査地の平均種子重量と最大種子落下数には両対数軸上で負の直線関係が認められた。このことから,樹冠単位面積あたりに生産される種子数は,樹種が異なってもその種子重量に対応した上限値が存在すると推察した。