1 0 0 0 OA 本朝食鑑 12巻

著者
丹岳野必大千里 著
出版者
平野氏傳左衛門
巻号頁・発行日
1697

食物本草は、日常食品の調和で健康を保つとの観点に立った本草書で本邦では寛永期(1624-43)以降多くの著作が現われたが、本書はその最高峰といわれる。見出しの多くが和名であること、「華和異同」の項で和漢の違いを考察するのが特色。ただし、記文は漢文で、図はない。著者人見必大(1642?-1701)は幕医で、野必大とも称した。植物は食品を含めて約160品、動物は250品を記述する本書は優れた博物書でもある。とくに鳥類について詳しい。本書に初出する外来種は、烏骨鶏(ニワトリの品種)・唐丸(同)・ちやぼ(同)・鷓鴣(シャコ)・文鳥・紅雀‥‥と多い。動物全般では、青大将・かましか(カモシカ)・雉鳩・嶋梟(シマフクロウ)・白梟・すつぽむ(スッポン)・真雁・むささび・ももんが、などの名が初めて出る。叙を記した江上漁翁伯将は、岸和田藩主の岡部長泰。幼いとき、必大の父の治療を受けたので、この出版を援助したという。(磯野直秀)