著者
丹治 進
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.95-105, 2005-02-20

要旨 陰茎切断は,稀な疾患で,自傷がその原因であることが多い。性器自傷は,精神医学領域の問題が背景となっており,最近では統合失調症に代わって,性同一障害などの人格障害が増加傾向にある。切断陰茎は,陰茎再接着術により救急的な救済が得られる。その制限時間は,24時間ともいわれているが,はっきりとした根拠はない。陰茎の血管神経系が再吻合されなくとも,勃起機能の温存が得られる報告が多いことから,陰茎深動脈の再吻合の必然性はいまだ示されていない。一方,皮膚や亀頭の欠損は,陰茎背動静脈再吻合で著明に改善される。