著者
柳澤 渓甫 小峰 駿汰 久保田 陸人 大上 雅史 秋山 泰
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:21888590)
巻号頁・発行日
vol.2017-BIO-50, no.38, pp.1-8, 2017-06-16

バーチャルスクリーニングにおける大規模なタンパク質 - 化合物ドッキング計算の高速化のために,化合物の部分構造であるフラグメントのドッキング計算結果を保存し,他の化合物の評価時に計算結果を再利用する方法が提案されている.しかし,従来提案されてきた手法はディスクアクセスを大量に発生させ,高速化率が十分ではなかった.さらなる高速化のためには,メモリ上に計算結果を保持してディスクアクセスを減らすことが考えらえるが,メモリ容量には上限があるため効率的な計算結果の保持を実現することが重要になる.本研究では,最適な計算結果の保持順番の導出を重み付きオフラインキャッシュ問題として定式化し,これを最小費用流問題に帰着させ,さらにこの帰着させたグラフの特徴を利用した高速な厳密解アルゴリズムを提案した.従来提案されていた非巡回有向グラフに対する最小費用流問題の厳密解アルゴリズムに比べて約 7 倍の高速化を達成した.