著者
亀井 隆弘 広田 美江 梶原 秀明
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-23, 1994-01-31

Duchenne型筋ジストロフィーに対する治療の中で, 運動療法が有効であるかどうかを明らかにするため, 週5回を原則に運動療法を行っている入所中と, ほとんど運動療法を行っていない春休み・夏休み・冬休みの長期外泊中で, 運動機能の変化の仕方に差があるか比較検討した。当院に入所した, または入所中のDMD患者のうち, 10名に3m四ばい移動時間を, 11名に3mずりばい移動時間を, 32名に握力を1年間を通して測定した。1年間の変化としては四ばい移動時間が平均9.6秒, ずりばい移動時間が平均21.5秒増加し, 運動機能の低下がみられた。しかし, 握力に関してはほぼ変化がなかった。また, 1年間を長期外泊中と, 入所中の2つに分け, 各測定項目につき, 1ヶ月当り平均変化率を計算して比較した。その結果, 四ばい移動時間・ずりばい移動時間・握力とも, 長期外泊中に悪化傾向が強まることが明らかになり, 運動療法その他, 病院内の身体活動が運動機能の維持に役立っていることが示唆された。