著者
橋本 佳明 二村 梓
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.652-655, 2010 (Released:2013-07-31)
参考文献数
11

目的:喫煙習慣の有無によりアレルギー性鼻炎(以下鼻炎と略す)の有病率が異なるかどうかを検討した.対象:職域健診受診男性9,733名,女性3,071名.方法:生活習慣および常用薬剤情報は自記式アンケート調査で得た.有病率の比較はカイ2乗検定で,オッズ比はロジスティック回帰分析で求めた.成績:男性の鼻炎有病率は10.5%で,喫煙状態別では,非喫煙者14.5%,過去喫煙者10.6%,少量喫煙者(1~19本/日)9.7%,中等量喫煙者(20~39本/日)5.8%,多量喫煙者(40本以上/日)3.7%であった.重回帰分析により鼻炎と関連していた年齢で調整して,非喫煙者に対する鼻炎有病率のオッズ比を求めたところ,過去喫煙者0.76,少量喫煙者0.64,中等量喫煙者0.38,多量喫煙者0.25でいずれも有意に低値であった.一方,女性の鼻炎有病率は14.7%で,男性と比較し有意に高率であったが,非喫煙者では差が認められなかった.結語:鼻炎有病率は喫煙量が多いほど低率であることが判明した.また,鼻炎有病率は男性と比較し女性の方が高率であったが,この原因は喫煙量の違いによるものであると考えられた.
著者
橋本 佳明 二村 梓
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.650-652, 2007-12-28 (Released:2012-08-20)
参考文献数
3

目的:血液検体の血清分離遅延により血清カリウム値が変動すること,さらにその変動は放置温度や放置時間により異なることが報告されている.今回,東京の某健診機関で見られた血清分離遅延による低カリウム血症率の上昇について分析した.方法:2003年4月から10月の間に職域健診をうけた2,645名のデータを解析した.4月から7月の検体は採血後7-10時間で,8-10月の検体は採血後0.5-1時間で血清分離された.成績:各月の低カリウム血症(3.4mEq/1以下)率は,4月12.7%,5月14.1%,6月21.5%,7月24.5%,8月1.6%,9月0.8%,10月0.6%であった.高カリウム血症(5.1mEq/l以上)率は4-7月0.28%,8-10月0.58%であった.結論:東京の4月から7月の気温で全血を7-10時間放置すると低カリウム血症率が著しく上昇することが判明した.血液検体の血清分離は速やかに行う必要がある.