著者
五反田 正太郎 品川 高廣
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2021-OS-151, no.10, pp.1-7, 2021-02-22

実行環境の多様化や DevOps 等の近年の開発手法の普及により,アプリケーションの開発・管理・運用を統一的かつ迅速に行う手法として,コンテナの活用が進んでいる.コンテナイメージは,そうしたコンテナのニーズを満たす要である一方,レジストリからイメージを取得する際に発生する時間がアプリのデプロイ・起動の遅延を増大させる最大のボトルネックともなっている.これに対し,コンテナイメージの遅延取得と呼ばれる手法はイメージの機能や汎用性を損なわずに起動の高速化を達成できる手法であり研究が進んでいる.しかし既存のイメージ遅延取得手法はアプリケーションや既存レジストリ,コンテナランタイム等,既存のコンテナのエコシステムとの間に互換性の問題があり,導入や運用における障壁も大きい.本研究では,コンテナイメージの仕様及びイメージ管理のデファクトスタンダードであるオーバーレイファイルシステムを最大限活かし,高い互換性を持つイメージ遅延取得によるコンテナ起動高速化手法を提案する.