- 著者
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五味真幹
鵜川始陽
岩崎英哉
- 雑誌
- 第52回プログラミング・シンポジウム予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.2011, pp.125-132, 2011-01-07
半導体記憶素子であるフラッシュメモリを使用した記憶装置の一種として、Solid State Drive(SSD)が、価格の低下や速度の向上に伴い、近年注目を集めている。HDDと比べ、読み書きが速い、耐衝撃性が高い、消費電力が小さいといった利点の反面、書き換え可能回数に上限がある、記憶容量当たりの単価が高いといった欠点もある。そのため、一般的なマシンにおいてはSSDとHDDを併用し、相補的に利用することが重要視されている。そこで本研究では、SSDとHDDの併用によって、ファイルアクセスを高速化するファイルシステムUnion-Extended Cache File System(UECFS)を提案し、実装する。UECFSは、ファイルへのアクセス頻度に応じて、SSDかHDDのどちらかへファイルを自動配置する。ファイルの配置先は、ファイルのアクセス頻度の変化に応じて、動的に変更する。アクセス頻度の高いファイルのみをSSDに自動配置するため、SSDの使用量を抑えつつ、ファイルアクセスの高速化が可能である。また、ユーザはSSDとHDDのどりたにファイルが配置されているか意識しなくてよい。UECFSは、UnionFSを拡張して実装した。UnionFSは、Linux向けに実装されているファイルシステムであり、異なる複数のディレクトリを重ねてマウントし、単一のディレクトリの様に扱うことが出来る。UECFSは、UnionFSの機能を利用して、SSD上のディレクトリとHDD上のディレクトリを重ねてマウントし、独自のファイル自動配置機構により、ファイルアクセスを高速化する。UECFSをLinux Kernel 2.6.30.10に実装し、実験を行ったところ、ファイルがSSDに自動配置されることにより、ファイルアクセスが高速化することを確認した。