- 著者
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井口 恒男
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.29, 1984-01-15
岐阜 近年の企業の合理化の一環として,給食を外部に委託しているところが多いが,給食施設の管理不備や収益第一主義がともすると,大きな集団食中毒発生につながる実例が発生した. 昭和58年9月8日の夜半,大垣市の一給食センターで調理した昼食用給食弁当を食べた数ヵ所の工場従業員らから,腹痛や下痢を訴える者が数百人発生した.8日夜から9日朝までに700人近い患者が市民病院等で治療を受け,病院では当直医師だけでは足りず,全医師に緊急呼び出しをかけ治療に当った.救急車も患家と病院をピストン往復の状態であった.患者は全般的に下痢,嘔吐,腹痛を訴え,38℃を越す発熱のあるもの,脱水症状強く入院を必要とするものも多数みられた.最終的には2,807人の発症者が認められており,そのうち226人が入院患者となった.