著者
井村 健一郎
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.677-713, 2010-09-05

グラフェンを舞台にしてトポロジカル絶縁体を議論する。近年グラフェンが盛んに議論されているが、その面白さはどこにあるのだろうか。グラフェン系の物理は、本質的に一体問題で議論されているにも関わらず豊富な物理を含んでいる。例えば、Dirac型分散関係の帰結として至る所に顔を出すBerry位相や、(2+1)次元Dirac粒子の量子Hall効果(あるいは量子化されたスピンHall効果)におけるパリティ異常などなど。量子力学における対称性が至る所に顔を出すのも興味深い。このノートは、2008年8月21日から23日にかけて長野県茅野市白樺湖で行われた、東京大学生産技術研究所羽田野研究室の合同夏期セミナーにおける講義に基いている。講義の内容を準備するにあたっては、著者が2008年4月から2010年2月まで籍を置いた東北大学大学院理学研究科物理学専攻量子多体論グループにおいて、当時大学院生であった堀田翔君を指導(と共同研究)するにあたって学んだことが基礎になっている。堀田翔君、及び、私をこのような研究分野に導いて下さった倉本義夫先生に感謝する。また、本ノートの作成に関しては、羽田野直道先生を中心とする羽田野研究室のメンバーの方々の多大なお世話になった。ここに謝意を表したい。なお、引用に関しては、本解説が非専門家を対象にした講義ノートの性質を持っていることに鑑み、必ずしもプライオリティーを尊重するのではなく、(特に非専門家が読んで)分かりやすいものという観点から著者が主観的な選定を行った。
著者
井村 健一郎
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.677-713, 2010-09-05

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。