著者
山崎 良樹 今野 晴義
出版者
岡山大学資源生物科学研究所
雑誌
岡山大学資源生物科学研究所報告 (ISSN:0916930X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.p159-166, 1993-03

テンサイ培養細胞には数種のα‐グルコシダーゼが存在している。相当量のα‐グルコシダーゼ活性は細胞破壊後、緩衝液と食塩で抽出されるが、まだかなりのα‐グルコシダーゼ活性が細胞残渣に含まれたままである。その酵素は、界面活性剤やS-S結合切断試薬では遊離されなかったが、細胞壁分解酵素により可溶化された。テンサイ培養細胞にスミチームCとペクトリアーゼY-23を作用させると、細胞はプロトプラストになり、細胞壁由来の成分のみを分離できた。可溶化された部分からα‐グルコシダーゼを硫安分画、セファクリルS-200HRカラムクロマトグラフィー、CM-セルロースカラムクロマトグラフィーにより精製した。本酵素は、マルトース、ニゲロース、マルトオリゴ糖、可溶性澱粉に良く作用したが、それらに比べ、イソマルトースに対する作用は弱かった。本酵素は、マルトオリゴ糖と可溶性澱粉にマルトースよりも強く作用した。本酵素以外にテンサイ培養細胞とテンサイ種子から数種類のα‐グルコシダーゼが単離されているが、本酵素の基質的特異性はそれらのものと異なっていた。