著者
山下 政司 伊藤 佳卓 相川 武司 横山 徹 北間 正崇
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.422, 2021

<p>幾つかの感覚モダリティ刺激により喚起される快感情に伴う生体反応の特徴を調査するため、快感情を喚起する味覚・嗅覚・聴覚刺激を与えた場合の生体反応を計測し解析評価したので報告する。研究は北海道科学大学倫理委員会の承認を得て実施した。書面で同意した21~23歳の健常男性15名の協力を得て実験を行った。快感情喚起の味覚刺激には「生チョコレート」を1粒摂取させること、嗅覚刺激はアロマオイル「オレンジスイート」を試香紙に滴下し、鼻下6cmに設置して嗅がせることとした。また、聴覚刺激としては、10名による事前調査で快感情スコアの最も高い楽曲「恋」をステレオで聴かせることとした。実験手順として、座位安静の被験者に対して前安静90秒の後、各刺激を90秒与え、後安静を40秒取った後、刺激中に喚起された感情につき質問紙に答えさせた。対照を含め、各刺激に対応したセッション中の生体反応を計測し、解析評価した。計測生理量は心電図、連続血圧、サーミスタ呼吸波、指尖光電脈波である。各刺激に対する質問紙結果は、対照に対して全ての刺激で快スコアが高く有意であった。生体反応としては、収縮期・拡張期血圧、脈圧ともに音刺激だけが有意に高くなった。心拍率および呼吸波振幅では味刺激のみが有意に高かった。脈波に違いはなかった。動脈波成分を用いた生理パラメータを試したところ、対照刺激に対して全ての感覚刺激で有意に高くなった。</p>