著者
奥田 亮 川上 正浩 坂田 浩之 佐久田 裕子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-14, 2010-01-31

大学生活にさまざまな意義を認めるためには,大学に適応し充実感を感じることが重要であると考えられる。そこで本研究では,先行研究を踏まえて,1回生から4回生までを対象に大学生活充実度尺度を実施し,その因子構造について検討した上で,大学生活充実度が学年ごとにどのように異なるのかについて,縦断,横断を含めた複数の観点から分析を行った。まず大学生活充実度尺度については,因子分析によって"フィット感","交友満足","学業満足","不安"の4 因子が抽出された。そして複数年度の1〜4回生の横断および縦断データから,4回生時に充実度全般が最も高まることが明らかになった。一方,1〜2回生にかけては充実度にほとんど変化が見られず,2〜3回生にかけては部分的に充実度が高まるという結果と,ほとんど変わらないという結果の,相違する二つの結果が得られた。今後はさらにデータを集積し,上記の結果を再検討することや,大学生活充実度に学年差をもたらす要因を詳しく検討していくことが課題とされた。