著者
佐藤 利光
出版者
明治大学経理研究所
雑誌
経理知識 (ISSN:03895890)
巻号頁・発行日
no.56, pp.p123-139, 1977-03

現代会計学は、隣接科学を包摂しながら、日増しに混迷の度を深めている。過去において、ペッドフォードに代表されるオペレイショナリズムの会計学への導入、あるいは、チェンバースによる行動科学の会計学への導入等は、混迷を救うがための一試論と位置づけられた。本論文で紹介するウェルズ教授の所見は、一九七六年七月号のアカウンティングレビュー誌の中で発表されたもので、クーンによる物理学の思想を会計学へ導入しようとする一試論であることは前二者と同様であるが、ただ前者が従来の会計フレームワークの中で何ら本質的な変更を求めないままに導入が行われたのに対して、ウェルズ教授の所見は会計学者集団の各成員を結びつける会計思想それ自体の根本的な変更を求めるための導入である。