著者
久野 祐輔 雛 哲郎 佐藤 宗一 秋山 孝夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.T31-T35, 1991-02-05
被引用文献数
1 3

使用済み核燃料再処理工場の効率的な運転には, 再処理プロセス中のウラン(U)及びプルトニウム(Pu)濃度のリアルタイムでの分析が不可欠である.そこで, 対象溶液の組成を変化させる必要がなく, 直接分析が可能な微分パルスボルタンメトリーに注目し, インライン分析法としての適用を試みた.電極の選択に当たっては, プロセスへ影響を及ぼさないこと, 保守が容易であることなどを考慮し, 貴金属のみを使用することにした.すなわち, 作用電極に金, 参照電極及び対極に白金を選び, これらを1本の樹脂に埋め込んで電極プローブとした.又高範囲の濃度測定のために, 作用電極には有効面積が0.008mm^2及び0.8mm^2の2種類を用いた.更に, 多くのプロセスでは対象溶液が流動しているため, 流動に影響されないプローブの形状を考案した.その結果, 硝酸濃度0.5〜5Mの範囲において1〜200gl^<-1>のU, 0.2〜5Mの範囲において0.5〜20gl^<-1>のPuを約5%の精度で定量できることが分かった.又, 使用済み燃料溶解液など高放射性のプロセス溶液に対しても適用できることを確認した.