- 著者
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佐野 友泰
- 出版者
- 札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
- 雑誌
- 札幌学院大学総合研究所紀要 = Proceedings of the Research institute of Sapporo Gakuin University (ISSN:21884897)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.7-14, 2020-03-20
筆者は,大学生の就職活動における「つまずき」に着目し,「つまずき」とそれに対応した支援ニーズを探り,適切な支援方法を模索することは,大学における教育的な側面と,予防的心理臨床活動という意味が存在すると考える.そこで本研究では,学生の就職活動における「つまずき」の心理的プロセスを検討し,それに応じた援助ニーズを明らかにすることを目的とした. 調査協力者は大学学部学生27名であり,就職活動中および就職活動を終えた大学4年生に対し,掲示及び学内のポータルシステムにより,調査協力者を募集した.応募してくれた調査協力者に対し,半構造化面接を行った. 質的分析の結果,つまずきのきっかけとなる出来事について,「面接場面での緊張」と「周囲からの影響や準備の困難さ」の対比とその循環関係,出来事から生ずる感情について,将来に目を向けすぎることの危険性および「不安や喚起」と「撤退」という異なるレベルの動機づけの問題が明らかになった.さらに,希望する支援について,指導的・共感的役割,情報の希求と不安増大という循環が指摘された.