著者
児島 俊弘
出版者
THE ASSOCIATION OF RURAL PLANNING
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.33-39,59, 1984

私がいま手がけている 「 パーソナルコンピュータによる農業集落カード利用システム 」 について 『 農村計画学会誌 』 に書けという御注文である。<BR>和田さんからは 「 学問的なとりあつかいをした論文に 」 というコメントがついていた。しかし, この仕事はもともと学問のベースで出発したものではなく, 今わたくしが仕事をしている農林統計協会の事業 ( 59年度農林水産省統計情報部の委託開発研究事業 ) の一つとして手がけているものであるから, なかなか学問的というわけにはいかない。どうするか考えているうちに大変に遅くなってしまった。ここに報文の形で御注文に応えたい。<BR>私も永年研究所で仕事をしていた習慣から, 事業にのせるだけではつまらない, という意識も働いている。この仕事を利用して私自身の問題として別な側面から考えを組み立ててみたいという気がないでもない。考えようによっては, この極めて具体的な問題を論理的な側面からとりあげるのも面白いのではないかと思われる。<BR>この問題を学問的にとりあげるとすれば, その依拠すべきパラダイムをどこに求めるべきであろうか。経済学あいは農業経済学というアプローチも可能であるが, それほど面白いものにはならないであろう。やはり, これは情報処理過程の問題なのでその側面からアプローチをする方が面白いであろう。それに, この接近法には, 未だにパラダイムとよべるものがないから, 既存の体系にわずらわされず自由に考えることができる。<BR>そこで, ここでは地域農業計画の策定を一つの情報処理過程としてとらえてみたい。このような情報処理過程の中で 「 農業集落カード 」 ( 1980年農林業センサス ) の利用システムをどのように位置づけて組み立てるか, という問題である。