著者
児玉 章朗 磯谷 正敏
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.738-743, 2007-10-30 (Released:2008-10-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

過去10年間に経験した急性上腸間膜動脈閉塞症 (以下SMA閉塞症) 11例について検討した。症例は男性5例, 女性6例で年齢は61~92歳 (平均76歳) であった。全例心血管疾患を併存しており, 心房細動を7例に認めた。来院時すでに全身状態が極めて不良な症例が多く, 5例がショック状態であった。術前の理学所見および諸検査から全例に緊急開腹手術を行った。広範な腸管虚血から試験開腹を行った1例を除き全例壊死腸管を切除し, 最近の3例には血栓除去術を追加した。手術直接死亡3例を含め7例が入院死亡した。しかし生存退院4例も術後平均14カ月で死亡していた。生存退院群と入院死亡群での予後因子の検討では, 術前ショックの有無のみで有意差が認められた。SMA閉塞症は現在でも予後不良な疾患であると考えられた。