著者
岩間晴之 村松大吾 槇原靖 八木康史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-10, 2013-03-07

近年,歩容に基づく人物認証技術の犯罪捜査応用が注目を集め,実際に活用されはじめている.監視カメラ映像で観測された犯人の歩容特徴から対象人物を鑑定するためには,当該分野の専門的知識及びスキルが必要となるため,従来の犯罪捜査においては,歩容認証を専門とする研究者などの歩容の専門家にそれを依頼してきた.しかし,より迅速かつ効率的な犯罪捜査を行うためには,歩容の専門家ではない犯罪捜査員が,手元で即時に人物鑑定結果を得ることが望ましい.そこで本研究では,そのような歩容の非専門家による使用を前提とした,世界初の歩容に基づく人物鑑定システムを構築した.本システムは,最先端の歩容認証技術が実装されているだけでなく,GUIに基づく簡易な操作インタフェースを備え,非専門家であっても,専門家と同様の人物鑑定結果を,簡易な操作手順によって得ることができるよう設計されている.実験では,一人の歩容の専門家及び10人の非専門家を被験者とし,本システムによる模擬鑑定実験を行った.結果として,非専門家が行った合計50組の鑑定のうち,46組の鑑定で専門家と同様の結果を得ることができ,本システムの有用性を確認することができた.
著者
山添大丈 満上育久 八木康史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013-CVIM-188, no.15, pp.1-6, 2013-08-26

我々は,人の歩き方 (歩容) からその人の意図を推定することを目指し,研究を進めている.本稿では,歩き方からの意図推定手法の実現可能性について検討するため,人は,歩く様子を撮影した映像から,その人の意図を推定できるのかどうかを調査する.また,歩き方から意図を推定するにあたって,どういった部分に着目しているかについても分析を行う.3 種類の意図 (「ついていく」,「向かう」,「逃げる」) を含む映像列を用いて被験者実験を行い,a) 歩き方からの意図推定は可能,b) 約 70% 程度の正解率,c) 歩き方のうち,形状 (シルエット) やテクスチャが意図推定に重要,d) 頭部以外にも意図推定に有用な情報が含まれることが分かった.これらの結果は,我々の目指す,歩き方からの意図推定手法の実現可能性を示すものといえる.