著者
天倉 吉章 内倉 崇 好村 守生
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】ヘーゼルナッツはカバノキ科ハシバミ属植物の果実で,栄養価の高いナッツ類と一つとして世界中に広く流通する食材である.我々はナッツ類の成分に関する研究を行っており,成分情報の乏しいヘーゼルナッツに含有する二次代謝物について検討を行い,4種の既知化合物とともに文献未記載の化合物2種を単離し,それらの構造解析について先の薬学会1)において発表した.その検討の中で,本抽出物には縮合型タンニンと考えられる高分子化合物の存在が示唆されていたため,今回,その続きとして高分子画分について検討した.【方法】前回はヘーゼルナッツ市販品の80%メタノール抽出物について検討したが,本研究ではタンニンの検出を目的とするため70%アセトンで抽出することとした.得られた抽出物をn-ヘキサンで脱脂後,Sephadex LH-20カラムクロマトグラフィーによる分画を行い,高分子画分を得た.本画分について,HPLC,NMR,GPC等に基づき構造解析を行った.【結果】得られた高分子画分についてHPLC分析を行ったところ,縮合型タンニンに特徴的なブロードピークが観察された.13C-NMRの結果,カテキン骨格に特徴的なシグナルが観察され,本画分の主成分はフラバン 3-オールがBタイプで縮合している高分子化合物であることが示された.おおよその分子量を明らかにする目的で,本画分のGPC分析(ポリスチレン標準品を使用)を行った結果,重量平均分子量約7~8万であることが示された.また,GPCで確認されるこのピークを指標に,GPCによるヘーゼルナッツ中の高分子画分の定量法についても検討した.本年会では,これら得られた結果についても併せて報告する予定である.1) 北野智愛ら,日本薬学会第138年会(金沢)