著者
内川 浩典
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.217-228, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
27

2020年の日本国際賞をマサチューセッツ工科大学名誉教授であるRobert G. Gallagerが受賞した.受賞の対象となった低密度パリティ検査符号(LDPC符号)は,Gallagerが1960年に彼の博士論文で提案した誤り訂正符号である.30年以上という長い歳月を経て評価されたLDPC符号は,またたく間に我々に身近な情報機器にも搭載されるようになり,現在では我々の生活に欠かせない技術となっている.本稿ではこのLDPC符号について解説する.特に確率推論の観点から最適な復号アルゴリズムがLDPC符号により実行可能な形で導かれることを紹介する.更に実用的なLDPC符号をどのようにして構成するのか,その構成方法を紹介する.