著者
内田 悠美子 伊藤 貴之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.108-119, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

本論文では, 対話的な詳細度制御によって大規模時系列データの可視化を実現する一手法を提案する.本手法では時系列データを表す折れ線グラフをクラスタリングし, 各クラスタの中心に近いグラフのみを表示する.これにより, グラフの表示本数を低減することで表示結果の煩雑さを抑え, かつデータ全体の特徴を逃さない表示を実現する.また本手法は, 詳細度制御後の可視化結果画面から, ユーザが着目したグラフをインタラクティブに選択するための, ユーザインタフェースを併せ持つ.これを用いることでユーザは, 選択したグラフと同じクラスタ内にあるグラフを表示させることができる.よって, ユーザが着目した特徴をもつデータについて, 対話的に詳細度を再制御できる.著者らは, 日本全国の気温データに提案手法を適用し可視化を試みた.本論文では, 詳細度制御とグラフ選択のインタフェースの利用により気象現象を解析した例を紹介する.