著者
内田 浩志 土井 彰 赤木 博文
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.157-162, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
13

症例は既往歴に化学物質過敏症を持つ51歳女性. 歯性感染による頸部蜂巣炎を発症し, 水島協同病院耳鼻咽喉科にて入院加療した. 治療中両手掌・両下肢を中心に皮疹を発症した. 皮疹は, 当院皮膚科に紹介し, 薬剤・感染症・化学物質過敏症の何れかが原因の中毒疹と診断された. 最初は薬疹を疑い, 抗菌薬の変更とステロイド薬の投与を行うも改善しなかった. 入院後8日目に築年数の若い外来棟で診察したが, 外来棟の建物に入ると強い刺激臭を自覚し, 数時間後皮疹は増悪した. 頸部蜂巣炎治癒後, 皮膚科に転科し治療を継続するも治癒までには至らず, 全身状態は良好なことから退院帰宅し環境を変えた. それ以後皮疹は徐々に消失した.