著者
前澤 陽
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.19, pp.1-8, 2016-07-23

本稿では,人間の演奏に合わせて機械が伴奏するような合奏システムにおける,伴奏パートの発音タイミングについて述べる.合奏中の演奏者は,(1) 自分自身のパートに対して,目標となる演奏タイミングを持ち,(2) 相手の演奏を予測しながら聴き,(3) 互いの主従関係を踏まえながら演奏タイミングを補正すると考えられる.また,これらの三要素は,楽曲中のコンテキストやリハーサルや対話を通じて,独立して学習もしくは制御されると考えられる.そこで本研究では,演奏者の演奏タイミング予測,伴奏パート自体の生成過程,演奏者・伴奏パート間の主従関係の 3 要素を,独立に学習もしくは制御が可能な,発音タイミングの数理モデルを提案する.