- 著者
-
加藤 公則
- 出版者
- 公益社団法人 日本人間ドック学会
- 雑誌
- 人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.4, pp.541-549, 2016 (Released:2017-03-28)
- 参考文献数
- 35
Brain natriuretic peptide(BNP)とN terminal(NT)-proBNPは心不全の診断,予後を推定できる有用なバイオマーカーである.しかし,BNPは循環器内科医や一般内科医にとって有用なだけではなく,将来は健診医にとっても有用なバイオマーカーと成り得ると思われる.つまり,BNPやNT-proBNPは心不全と診断できる値より低値で,将来の死亡,心疾患や脳卒中の発症を予測できることが知られてきている.したがって,人間ドックにて高血圧,糖尿病(耐糖能障害も含む),脂質異常症,喫煙などがあり,すでに将来の動脈硬化性疾患の発症リスクのある人は,BNPやNT-proBNPを測定し,もし,それが正常高値にあれば,将来の脳心疾患の発症を防ぐために,さらに厳密なリスク管理を施す必要があると思われる.さらに,BNPは糖代謝とも関連していることが最近知られてきており,将来,糖尿病医にとっても大切なバイオマーカーになる可能性もある.