著者
北原 増雄 山沢 和子 Masuo Kitahara Kazuko Yamazawa
雑誌
東海女子短期大学紀要 = The journal of Tokai Women's Junior College (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
no.6, pp.10-16, 1978-10-01

ゆでめんに適量の過酸化水素を吸収させるための実験とゆでめん中に残存する過酸化水素の調理時における減少について検討し,さらに市販ゆでめん中の過酸化水素残存量を調査して次の結果を得た。1.ゆでめんの過酸化水素吸収量は浸漬液の過酸化水素濃度,浸漬時間およびゆでめんの形質により影響を受けるが,一般に行われる浸漬液の過酸化水素濃度にて適量の過酸化水素を吸収させるには10秒以内の浸漬にて十分である。2.ゆでめん中の過酸化水素のゆで直しによる溶出量は,ゆで液量の多いほど,またゆで時間の長いほど多くなるが,ゆで時間1~3分の場合溶出量はおよそ41~55%の範囲であった。しょう油やみそを用いる煮込みうどんの調理法では当初ゆでめんに含まれていた過酸化水素のおよそ50%が分解される。しょう油やみそに過酸化水素分解効果があるのはこれらに含まれるアミノ酸によるものであって,特に含硫アミノ酸であるシスティン,シスチンおよびメチオニンに著しい分解効果のあることを確かめた。3.市販ゆでめんの過酸化水素残存量は調査した4店のうち3店のものは1か年間にわたってすべて許容量であったが,残り1店のものは購入月により著しいばらつきがあり,中には基準量を上回るものもあった。本研究を行うにあたり,実験設備その他にご援助いただきました本学理事長神谷一三先生ならびに学長神谷みゑ子先生に対し深く謝意を表します。
著者
山沢 和子/北原 増雄 Kazuko/Kitahara Masuo Yamazawa
雑誌
東海女子短期大学紀要 = The journal of Tokai Women's Junior College (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-23, 1978-10-01

食用油6種類につき日光照射,紫外線照射,加熱ならびに室内保存による品質の変化を調べ次の結果を得た。1.日光照射により油の酸価はゆるやかに,過酸化物価は急激に増加した。ケン化価とヨウ素価に対する日光照射の影響は少なかった。2.紫外線照射により油の酸価はゆるやかに,過酸化物価はやや急速に増加した。3.油を180℃で1日30分間ずつ加熱することを続けたところ,回数のふえるにしたがい酸価はゆるやかに増加したが,過酸化物価は油の種類により一様でなく,増加の傾向も多くなかった。当初高い過酸化物価を持つ油は加熱により急速にその値が低下して,過酸化物が加熱に不安定なことを示した。4.常温にて室内に1か年間保存した油の酸価はわずかな増加にとどまり,ゴマ油とナタネ油以外は0.5以内であった。過酸化物価はナタネ油を除いて各油とも保存日数とともに徐々に増加した。本研究を行うにあたり,実験設備その他にご援助いただきました本学理事長神谷一三先生ならびに学長神谷みゑ子先生に対し深く謝意を表します。