著者
北山 淳一
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.106-110, 2020-07-20 (Released:2020-07-20)
参考文献数
34

外傷病院前救護活動において, 受傷機転や症状から脊椎・脊髄損傷が疑われる場合はバックボード等を用いた全脊柱固定の適応となる. 全脊柱固定の意義は, 搬送中に脊椎の動きを制限することにより脊髄の二次損傷を防ぐことにある. しかし長時間使用による合併症の増加を示唆する論文が数多くみられる. 二次救急医療機関の環境やバックボード固定による合併症を考慮した場合, 脊椎・脊髄損傷の診断がなされるまでバックボードを使用し続けることは慎むべきである. 損傷が悪化しないよう十分に配慮し, 出来るだけ早期にバックボードを除去した方が良いと考える. 重要なのは, 医師・看護師・救急隊員が協力してバックボード除去まで行うことである. そのためには院内トレーニングが必要と思われる.