著者
卜部 美代志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.415-416, 1975-04-20

私達は,学生の頃,外科総論の講義をきいて,外科的症候学,ないし,外科的診断学を学んだことを,なつかしく思いだすことができる.それで考えられることは,外科学のはじまりは,疼痛,腫脹,腫瘍,出血,潰瘍などphysical signsから起こつて,発達してきたのではないかということである.その後,今日までの外科学の進歩に従つて,これらのphysical signsの観察内容,ならびに,意義づけも,昔に比べて大きく進展し,近代外科学の理論がおりこまれているにちがいない.例えば,出血についても,現代の外科医がぜひ知らねばならない新しい知見がたくさん加えられ,また,今後,進むべき方向も示されているにちがいないのである. Physical signsは,くわしくいえば,症状と所見とに分けられるであろう.