著者
古勝 正義
出版者
北九州大学外国語学部
雑誌
北九州大学外国語学部紀要 (ISSN:02878062)
巻号頁・発行日
no.89, pp.1-22, 1997-03

陳淏「花鏡」と古呉墨浪子「西湖佳話」とを比較検討してみると、ともに杭州西湖へのつよい思いが表現されており、南京と深い関係をもつ書物であり、書中には釈道二家への傾斜、文人趣味(山水園林、隠逸)など共通する人生観や生き方が現われており、また細部の措辞においても類似・同一性が認められる。古呉墨浪子の自序および図版の跋語の書きぶりなどを考え合わせると、「西湖佳話」の作者は陳淏その人と見なすほかない。
著者
古勝 正義
出版者
北九州大学外国語学部
雑誌
北九州大学外国語学部紀要 (ISSN:02878062)
巻号頁・発行日
no.90, pp.1-30, 1997-08

二十回本済顚小説のうち西湖墨浪子偶拈本と天花蔵主人編次本を比較検討し、二十回本済顚小説は最初、西湖墨浪子の名で刊行されたものであることを見たうえで、作品の形式面、内容面の比較から、この二十回本済顚小説の作者西湖墨浪子は「西湖佳話」の作者古呉墨浪子と同一人物であると結論づける。
著者
古勝 正義
出版者
北九州大学外国語学部
雑誌
北九州大学外国語学部紀要 (ISSN:02878062)
巻号頁・発行日
no.開学五十周年記念号, pp.1-23, 1997-03

古呉墨浪子の名で出された「西湖佳話」の作者を解明するために、まず原刻本巻頭に附されている図版を分析して、これに跋語を書いている湖上扶搖子とは陳淏淏であることを指摘し、この書物が南京で「芥子園画伝初集」を制作刊行した王概兄弟や李漁と陳淏との交遊圏のなかで生まれたことを述べる。また園芸書「花鏡」の著者でもある陳淏の人物像は十分明らかでないが、長子陳枚が編輯した数部の文集に収める資料からその生涯を素描した。