著者
磯野 宏秋 古賀 一夫
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.224-230, 1982-02-05
被引用文献数
4

本報では衝撃によって接触面をすべらそうとするときの静摩擦係数を衝撃摩擦係数μiと呼び, その測定法を提案している.測定装置は垂直な六角柱(試験片)の軸に関して対称であり, その六角柱の両側面を長方形板(試験片;せん断応力波を直角に反射して圧縮応力波に変えるスリットが開けてある)の端面で押し付ける.μiは各試験片にねじで締結したホプキンソン棒に生じた応力から理論的に計算する.μiの信頼性はηが1に近いことによって確かめる.ηとは実験と理論で求めた装置各部の応力によって計算される衝撃エネルギーと伝ぱエネルギーの比である.研削した炭素鋼同士の試験片を対象にμiを測定し, その結果, 本測定法は信頼性が高く, またμiは一般に知られた動摩擦係数より小さいことを明らかにしてしいる.