著者
吉川 英史
出版者
社団法人 東洋音楽学会
雑誌
東洋音楽研究 (ISSN:00393851)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.14, pp.233, 1958

三味線に関する種々の問題を、主として外国人の読者を対象として欝いた案内文である。 <BR>(I) 名称三味線、三弦、三線などの関係を述べる。 <BR>(II) 起原<BR>日本に渡来する以前の、三弦のそもそもの起りについての諸説を紹介する― <BR>(1) 田辺尚雄= ネーフエル説 <BR>(2) 岸辺成雄= クブズ (火不思) 説 <BR>(3) 林謙三= セタール説 <BR>(III) 東洋の三弦と日本の三味線との比較<BR>中国の三弦と、日本の三味線との相異を胴皮、胴木、駒、上駒、首部 (海老尾) 、撥などの、形状又は材料などについて述べる。 <BR>(IV) 三味線の構造と各部の名称<BR>日本内地の三味線の構造と各部の名称を述べ、場合によつては纏の名称の語意についても説明した。 <BR>(V) 日本への伝来と改造<BR>伝来史の通説を中心に、若干の異説を述ぺた、改造について琵琶の与えた役割を述べ、特にサワリの工夫と完成について略述した。 <BR>(IV) 調弦法 (調子) <BR>三味線の主要調弦法の三種を主とし、臨時的・派生的調弦法にも触れ、調弦法に多く種類のある理由を述べた。 <BR>(VII) 奏法<BR>三味線の構え方、左手と右手の使い方、バチの握り方などを述べ、奏法も流派によつて違う点を述べた。さらに、三味線においても音色の問題が重要であることと、三味線の特色であるメロデイー楽器とリズム楽器の二重性格を指摘しておいた。