著者
奥谷 忠雄 鵜澤 惇 吉村 坦
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.120-123, 1989-03-05
被引用文献数
10 9

1,2-シクロヘキサンジオンジオキシムを活性炭に担持した吸着剤(以下、AC-DOxと略記)を用いて微量Niを分離濃縮した後、メタル炉AAS法で定量する方法を研究した。AC-DOxは水溶液中で活性炭にDOxを吸着させ、炉過した後、デシケーター中で乾燥保存した。試料溶液100-1OOO cm^3中にFe、Co及びCuなどが共存してもpH6.0〜9.0の範囲で0.5μg以下のNiをほぼ定量的に吸着分離できた。又吸着されたNiは希塩酸で容易に脱離できるのでこの溶液についてタングステンリボン炉を用いてAAS測定する。検量線は0.05〜0.50μgの範囲で再現性の良い直線関係が得られた。又濃縮は少なくとも200倍まで可能であった。0.10μg Ni/100cm^3について行った本法の再現性は相対標準偏差(n=5)は3.0%であった。本試料中の極微量Niの定量に本法を適用し満足する値を得た。